個人情報保護は現代社会において重要なテーマとなっています。その中で、「プライバシーマーク」は個人情報を適切に取り扱う企業や組織の安心感をあらわす重要な指標となっています。この記事では、プライバシーマークについて初心者の方々の疑問に回答する形で解説します。プライバシーマーク取得のメリット、取得方法、費用などについて詳しく説明します。
目次
プライバシーマークとは?
プライバシーマークは、個人情報の保護と適切な取り扱いが求められる現代社会において、個人情報を適切に取り扱う企業や組織を示す重要な指標です。プライバシーマークを取得している企業は、顧客の個人情報を厳重に管理し、情報漏洩や不正利用のリスクを最小限に抑えていることが審査において確認されています。プライバシーマークの認定は一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が行っています。
プライバシーマークを取得するメリット
プライバシーマークを取得することで、企業や組織は信頼性と透明性を高め、顧客からの信頼を得ることができます。
信頼性が向上する(顧客満足度)
プライバシーマークを取得することで、企業は個人情報の適切な取り扱いを宣言し、顧客に対して安心感を与えます。顧客は個人情報を提供する際に、相手の企業が信頼できる個人情報管理をしていると判断でき、お互いにスムーズに取引を行えます。結果として顧客満足度も向上し、リピート率や口コミによる新規顧客獲得が増加します。
例えば、結婚紹介業やエステ業界のような注意を要する個人情報を取り扱う業種においては、プライバシーマークを取得することで顧客に安心感をアピールし、信頼性の向上を通して高い顧客満足度を生み出し、会社規模の拡大を実現しています。
個人情報漏洩のリスクが低減する(セキュリティ)
プライバシーマーク取得の取り組みにおいて、自社が保有する個人情報をリストアップし、リスク評価に基づいてセキュリティ対策を講じます。また社員教育を行い、ルールに基づく個人情報の取り扱いを実行させ、内部監査も毎年行います。これら一連の取り組みにより、個人情報漏えいのリスクを低減できます。
例えば、コールセンターを運営している企業の場合、万が一にも顧客情報が流出するような事態は避けなければなりません。そのため、プライバシーマーク取得の取り組みを推進することで、しっかりとした社内体制を構築しています。
法令遵守体制を構築できる(コンプライアンス)
プライバシーマーク取得の取り組みにおいては、セキュリティ体制を整えるだけではなく、個人情報保護に関連する法令や規制への遵守も確実にする必要があります。個人情報保護法は新しい法律です。定期的な見直しも行われ、それを追いかけていくのは容易ではありませんが、プライバシーマーク制度に従うことで、一定の法令遵守体制を構築できます。
プライバシーマークの取得により、企業や組織は信頼性の向上、顧客の安心感の獲得、リスク軽減と法令遵守の効果を享受することができます。これにより、競争力の強化や持続的な顧客関係の構築につながるでしょう。
プライバシーマークの取得方法と手順
プライバシーマークを取得するためには、審査機関に対して申請を行い、審査を受ける必要があります。審査では、個人情報の取り扱い方針やセキュリティ対策などが評価されます。プライバシーマークの取得には一定の基準を満たす必要があります。具体的な手続きを知ることで取得のステップが明確になります。
1. 審査機関の選定
プライバシーマークの審査は、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)、またはJIPDECが指定する指定審査機関が行っています。下記のリストの中から審査機関を選定します。
- 1一般財団法人日本情報経済社会推進協会 [JIPDEC]
- 2:一般社団法人情報サービス産業協会 [JISA]
- 3:一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会 [JMRA]
- 4:公益社団法人全国学習塾協会 [JJA]
- 5:一般財団法人医療情報システム開発センター [MEDIS-DC]
- 6:一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会 [全互協]
- 7:一般社団法人日本グラフィックサービス工業会 [JaGra]
- 8:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会 [JUAS]
- 9:公益財団法人くまもと産業支援財団 [KPJC]
- 10:一般社団法人中部産業連盟 [中産連]
- 11:一般財団法人関西情報センター [KIIS]
- 12:一般財団法人日本データ通信協会 [デ協]
- 13:一般社団法人ソフトウェア協会 [SAJ]
- 14:特定非営利活動法人みちのく情報セキュリティ推進機構 [TPJC]
- 15:一般社団法人日本印刷産業連合会 [日印産連]
- 16:一般財団法人放送セキュリティセンター [SARC]
- 17:一般社団法人北海道IT推進協会 [DPJC]
- 18:特定非営利活動法人中四国マネジメントシステム推進機構 [中四国MS機構]
- 19:一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム [MCF]
- 20:一般財団法人日本エルピーガス機器検査協会 [LIA-AC]
(出典:プライバシーマーク指定審査機関一覧)
2. 個人情報保護規程の作成
プライバシーマークを取得するためには、審査基準を満たす個人情報保護規程の作成が必要です。プライバシーマークの審査基準はかなり細かいため、自力作成はお勧めしません。通常はコンサルティング会社が用意する規程ひな形を元に、自社にあった内容にカスタマイズして完成させます。
3. 規程に基づいてPDCAサイクルを一回り運用する
プライバシーマークの取得のための申請をするには、作成した個人情報保護規程に基づいて「PLAN」「DO」「CHECK」「ACTION」、いわゆるPDCAサイクルを一回り運用し、運用の記録を作成することが必要になります。通常は1年間で1周することになりますが、素早く取得したい場合には短期間でPDCAサイクルを一周させて、必要な記録を作成します。
4. 審査機関に申請する
選択した審査機関に対して、プライバシーマークの申請書類を提出します。申請書には、企業名や所在地、個人情報の取り扱いに関する情報などを記入する必要があります。
5. 文書審査と現地審査を受ける
提出した申請書類を元に、審査機関が審査を行います。審査には、文書審査と現地調査が含まれます。現地調査では、御社のオフィスや事業所を審査員が実際に訪問し、個人情報の取り扱い状況を確認します。現地審査のあと、多くの場合、いくつかの指摘事項が出ます。この指摘事項に対して一つ一つ改善報告書を提出し、クリアしていきます。最終的に全ての指摘事項が改善されたと認められた場合に、審査機関の審査会にかけてもらうことが可能になります。
6. プライバシーマーク取得完了
審査会を通過すると、審査機関から審査終了の連絡が来ます。指示に従って、JIPDECとの間でマーク利用契約を締結すると、プライバシーマークの認定証が発行されます。
プライバシーマークを取得する際に掛かる費用
Pマークの新規取得には、以下の費用がかかります。
審査費用
取得申請時に支払う手数料があります。事業規模に応じて、30万円、61万円、123万円となっています。
詳細はプライバシーマーク公式Webサイトをご参照ください。
コンサルティング費用
プライバシーマークの取得までの準備作業を進めるのを助言してもらうコンサルティング会社に支払う費用があります。コンサルティングの費用は、やり方や会社によってもそれぞれ異なりますが、小規模な事業者様で80万円、中規模の事業者様で100万円くらい予算として用意していただければ、選択の幅が広がることと思います。弊社の費用については、こちらのページをご覧ください。
セキュリティ対策費用
プライバシーマークの取得にあたり、Webサイトの変更や追加のセキュリティ対策を行うための費用が発生する場合があります。ただし、これはそんなに大げさに考える必要はありません。パスワードをしっかりかけることや、オフィスの開錠施錠記録を手書きで記録するなど、ほとんど費用をかけずに行える対策がほとんどです。Webサイトについては、プライバシーポリシーを記載したり、個人情報を取得するお問い合わせフォームなどに同意を取得する仕組みを盛り込むことが必要です。
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