※トップ画像は個人情報保護委員会のリリースより引用。
皆さんこんにちは。
プライバシーザムライ中康二です。
今年の春からくすぶり続けているマイナンバーとマイナンバーカードに関する問題。これはいわば政争の具になっており、問題が起こるたびに「デジタル庁はどうなっているんだ!」という話になり、河野大臣が人気を下げていますが、この騒ぎで飛んできた火の粉を被ることになったのが個人情報保護委員会(PPC)。
PPCは、もともと「特定個人情報保護委員会」として発足した組織でもあり、個人情報とマイナンバー全般に関する監視機関ですが、一方で「個人情報/マイナンバーの有用性に配慮する」という命題も抱えており、公正取引委員会/証券取引等監視委員会などのような規制当局としての強面(こわもて)の顔はあまり見せていなかったと思います。
しかし、2022年/2023年の個人情報保護法改正により、行政機関や自治体への監視権も得て、日本の公共/民間双方のセクターにおける個人情報/マイナンバーの取り扱いに関する監視を行わなければならなくなりました。
そこで起こったのが今回のマイナンバー問題。PPCとして初めて、行政機関を相手にして指導を行わなければならない事態になったというわけです。
9月20日、PPCは下記の二つの指導を行ったことを公表しました。
(1)公金受取口座の誤登録等
デジタル庁に対して>
自治体が開設したマイナポイント支援窓口において、一人の操作が終わったあとログアウトしないまま他の人の口座を登録することによる誤登録が散発していたのに対して、デジタル庁が適切に対応しなかったために多数の誤登録を誘発する結果となったことに対する再発防止策の指導
国税庁に対して>
確定申告の還付先口座を公金受取口座に登録する際、別人に紐づけしてしまったことに対する再発防止の指導
(2)コンビニでの住民票等の誤交付
富士通Japanに対して>
利用者が集中して負荷が高まった際に他人の住民票などを誤交付してしまったことと、それが発覚後の対応も不十分であったことに対する再発防止策の実施と結果の報告
各自治体>
委託先の監督の観点から再発防止策を取るように指導
https://www.ppc.go.jp/news/press/2023/20230920_02/
https://www.ppc.go.jp/news/press/2023/230920_01/
(私のコメント)
PPCの文書を見ると、とても詳細に調査を行い、問題点を明らかにしています。それはマスコミの報道などとは全く違う世界観です。丁寧に丁寧に問題を分析し、どこがよくなかったのかを淡々と記載し、そして二度とこういうことは起こさないようにという指導を行っています。大変意義深いものだと感じます。
ちなみに今もまだ問題としてマスコミをにぎわしている「マイナンバーカードの健康保険証利用における紐付け誤り」 については、PPCからの指導は出ていません。次はこれが来るんだろうと思います。
この内容が皆さんにとって何かの参考になればと思います。
また、何か情報が入りましたら、皆様にシェアいたしますね。