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個人情報保護法の両罰規定に基づき法人が書類送検される事案が発生~学習塾での盗撮画像公開事件において~

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プライバシーザムライ 中 康二です(オプティマ・ソリューションズ株式会社 代表取締役)。ソニー出身。プライバシーマークとISMSの専門家。個人情報保護/情報セキュリティに関して、最新の情報を皆様にわかりやすく発信しています。

皆さんこんにちは。
プライバシーザムライ中康二です。

著名学習塾「四谷大塚」で、講師(当時)による盗撮事件が発生し、逮捕されたとのニュースをご覧になった方も多いことと思います。

報道によると、この事件において、元講師を逮捕した警視庁は、個人情報保護法の両罰規定に基づいて、法人である株式会社四谷大塚も個人情報保護法違反の疑いで書類送検していたことが判明しました。

元講師は、盗撮画像をグループSNSに掲載する際、児童の個人情報を合わせて掲載したとのことで、これが個人情報保護法の個人情報データベース等不正提供罪にあたると判断され、同時に両罰規定に基づいて、法人に対しても同じ罪を適用したものと思われます。

個人情報保護法の両罰規定に基づいて、法人が書類送検されるのは、2005年に個人情報保護法が全面施行されて以来、初めてのことではないかと思われます(過去に事例があった場合にはご指摘ください)。

なお、個人情報保護法の両罰規定に関する条文は下記のようになっており、法人に対しては「1億円以下の罰金」とかなり高額の設定になっています。

第百八十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、次の各号に掲げる違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第百七十八条及び第百七十九条 一億円以下の罰金刑
二 第百八十二条 同条の罰金刑

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000057

ここで注目したいのは「その法人(略)の業務に関して、(略)違反行為をしたときは」とある部分です。

個人に対する個人情報データベース等不正提供罪においては、「その業務に関して取り扱った個人情報データベース等(略)を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供」とありますから、業務で知りえた情報を私的目的に流用することが違法行為に当たるのは明白です。

しかし法人に対する両罰規定の条文では「その法人の業務に関して違反行為をした」とありますから、違法行為の対象は組織としてそれを遂行している業務に限られると考えることもできます。盗撮行為が業務に当たるとは考えられず、元講師が勝手にやった違法行為に対して、このまま両罰規定に基づいて起訴、刑事訴訟と進んでいくのかどうか、注目したいと思います。

(なお本件に関しては、同社ならびに親会社などからも、関連したニュースリリースなどは確認できませんでした)

株式会社四谷大塚
www.yotsuyaotsuka.com/company/

この内容が皆さんにとって何かの参考になればと思います。

また、何か情報が入りましたら、皆様にシェアいたしますね。

プライバシーザムライ
中 康二

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