大手EC・通販事業者様の基幹システムを上流から下流まで一気通貫で請け負う少数精鋭集団株式会社フォービス（以下「同社」）。今年創業30周年を迎える同社はPマーク取得以来3度目の更新を行いました。今回、Pマークの取得することになった背景と、更新を継続する意義について、管理グループ合田博俊氏にお話を伺いました。

御社の事業内容を教えてください

1995年創業。弊社代表の家永が学生起業し現在に至ります。直近20年は、健康食品や美容商品、飲料等を取り扱う「単品リピート通販事業者様」に、独自の工法とシステムテンプレである「Vegas（ベガス）」を元に顧客ごとにフルスクラッチでシステム開発を行っています。

私たちはシステムベンダーでありながら「システムはソリューションツールに過ぎない」と喝破してきました。「業務をシステムに合わせるのではなく、業務に合わせたシステムを構築し、変化・強化させ続ける」をモットーに、これまで数多くの企業様の事業課題を解決してきましたが、何から手を付けていいか分からないようなお客様にも寄り添って「システム化計画」から策定することもあります。

既存またはリプレイス検討中のパッケージ型システムでは事業課題が解決出来ない、あるいは、システム開発が暗礁に乗ってしまったような事業会社様が列をなして弊社のドアをノックする、そんな弊社はシステム開発業界で「駆け込み寺」と呼ばれているようです。

Pマーク取得の背景を教えて下さい

Pマーク取得の背景は主に2点あります。

1点目はお客様（法人クライアント）が弊社とお取引されるにあたり「信用の目安」にしていただくこと。2点目はPMS（個人情報保護マネジメントシステム）を弊社の日常業務に取り込むことで、「信用をメンテナンス」することにあります。

私たちは、KIRIN様や花王様の他、グローバルに展開される化粧品の製造・小売事業者様から一次請けでご商売をさせていただいております。弊社のような中小企業がそのように直接ご契約をいただくには、最初に「信用」というハードルをクリアしなければなりません。

もちろん、弊社の主業である「システム開発」においては、開発したシステムを納品した後、そのシステムで売上向上やコストカット等の効果が出て、初めてお客様にご満足と信用を頂けるものです。ただし、お取引を開始するにあたり「この会社に頼んで大丈夫」と思われるためには、Pマークの取得はその重要な要素となります。いうなれば前提、最低条件のようなものだと考えています。それが「信用の目安」ということです。

次に、個人情報を取り扱うということにおいては、まず私たちも人である以上「慣れ」からの「たるみ、ゆるみ」はつきもので、世間で起こる様々な事故の根本原因がこれらにあると考えています。

事故を予防するために、日常業務においていかに自己牽制、内部統制出来るかの観点に立つと、毎年PDCAを回すPMSは一定以上の効果があるものと考えています。そして2年に一度のPマークの更新審査により「信用をメンテナンス」できるものと考えています。

情報セキュリティ認証においてPマークを選んだ理由を教えて下さい

弊社クライアントの中にはグローバル企業もおられますから、今現在も将来にわたってもISMS（ISO27001）も選択肢としてありますが、現段階ではそのニーズが顕在化していないため、弊社としてはPマーク取得にとどめています。

ISMSは事業・部門単位で取得できるというメリットがある一方で、個人情報を含む組織のあらゆる情報資産を保護するための包括的な管理の仕組みを構築することが求められます。厳格性と難易度が極めて高い印象があるため、より高い信用が得られるメリットは評価しますが、認証として何を選ぶかについては今後、弊社顧客からのニーズに応じる形で検討していきたいと考えています。

審査の時の感想や印象をお教えいただけますか

審査は毎回多少の違いがありますが、基本的には審査員からの質問に対して粛々と答えていく形式なのは同様です。私の方では作成したPMS規程や記録類に基づいて回答しつつも、中には弊社特有のやり方もありますから、それら実運用の本質をしっかりと見てもらえるよう心がけています。

また、審査では、特に感情を揺らさずに進めることを意識しています。私自身、長年にわたり管理業務を行っているため、大きく変わったことはありませんが、Pマークを取得する企業が急増した20年ほど前と比べると、ここ数年お会いする審査員の方は要所をおさえ審査を効率よく進められようとしているように感じます。

Pマークを取得されてから、新たに加えた制度などはありますか

弊社がPマークを取得した後、新たに導入した制度として大きなものは、新型コロナウイルスの流行時にフルリモート体制へと移行したことです。各社員の家庭環境を考慮しながら、リモートでもセキュリティレベルを強化しながら業務が進められるように体制を整えました。

特に家族であっても業務に関しては「部外者」という認識を持つよう社員に対し徹底しています。お客様の個人情報を扱うことの重要性を改めて意識させ、「こんなことは起こらないだろう」という些細な思い込みが実際に大きな事件や事故に繋がっているということを、事例を交えて社員に周知するようにしています。

また、外出先で仕事をする際、のぞき見されにくい席を選ぶとか、離席する時に情報端末や荷物を放置しないなどのチェックリストも作成し、セキュリティ意識を維持しています。弊社としては、今後も原則としてこのままフルリモート勤務を続けていく方針です。

定期教育や日常の運用体制について教えていただけますか

私が管理部門の責任者として、事務部門の派遣スタッフ2名のサポートを受けながらPMS事務局を運営しております。システム関連は情報システム部門の責任者が、内部監査は役員が担当しています。

定期教育は、オプティマ・ソリューションズ様から提供された資料をもとに、アレンジを加えて教材を作成しています。あえてE-Learningは使用せず、独自の方法で教育を行っています。理解度テストの作成も私が担当しており、必要に応じて内部監査の責任者やシステム担当者に確認を取りながら実施しています。

社員にとっても、日常の業務の中で刺激となるよう、現実的でありながらマンネリ化しない内容のテストを作成するよう心がけています。突発的にテストを行うことで、社員が常に緊張感を持って取り組めるよう工夫しております。

オプティマ・ソリューションズを評価して下さい

実は私自身が転職組で、この会社に入社して4年弱です。そのため、Pマークを認証手段として選んだのも、御社への発注を決定したのも、私が入社する前の担当者と経営陣によるものです。結論を申し上げますと、御社には大変満足しています。

私は前職でもコンサルさんの支援を受けてISMSやPマークを一緒にやってきた経緯があります。その中でもオプティマ・ソリューションズ様は群を抜いて品質が高いと感じています。

ひとつには、弊社の業務についてよく理解していただき、要点要所をおさえて運用面を助言いただけるということです。基本的にはPマークの取得や更新を成功させるためのコンサルだと思いますが、ミーティング直後には必ずToDoリストをメールで頂けるので、私の方でも答え合わせが出来ますし、方法論で私がやや壁に当たった時なども、柔軟に対応していただくなど、何度も助けていただきました。

いわば「腕の良い鍼灸師」というイメージです。その心は、的確に問題を指摘していただけること、また自然治癒作用と言ってもいいと思いますが、弊社の自助努力を後押ししていただける点です。

御社の今後の展望を教えてください

弊社の今後の展望は「システム開発を行うエンジニア集団として、システム開発の業界全体を革新すること」です。弊社は少数精鋭組織のためプロジェクトの大きさによって組織外のエンジニアリソースを頼ることが多いですが、パフォーマンスに関係なくエンジニアの単価が上がる傾向が続いており、結果、お客様のシステム開発コストに悪影響が出ています。

システム開発は建設業に似ていますが、現場監督のようにスケジュールを管理したり全体を見渡して事故を防いだりする役割の人と、柱を立てるような現場の作業をする人の単価には明確な差異がありますが、システム業界は必ずしもそうなっていないため、これらを是正していけるよう発信して行きたいです。

上記の単価問題はもちろん、今後、システムの工業化を推進し、機能の疎結合を進めることで、システム開発の業界構造そのものも変革していく計画です。これにより、開発チームも高い機動性と柔軟性をもって調整でき、結果として、お客様に対しより最適なコストで高いサービス品質を提供していくことを目指しています。

Ｐマークの取得を検討している方にひとことお願いします

Pマークの取得は、企業にとってメリットが大きいと感じています。これはある意味、事業投資の一環として捉えるものではないでしょうか。Pマークを取得することで、顧客や取引先との信頼を築くことができ、業務効率も向上します。

また、コンサルティング会社に頼ることで情報セキュリティに関する最新情報を入手できるため、常に最新の動向に対応できる点でも非常にメリットがあると思います。Pマークを取得する際には、コンサルティング会社に依頼することをおすすめします。

●本日は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました！